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マウスピース矯正で痛いと感じる原因|対処法と注意点も解説 投稿日:2025/10/07 更新日:2025/10/07

 

歯並びを整える方法として注目されているのが「マウスピース矯正」です。

しかし、実際に治療を始めると、痛みや違和感に不安を覚える方も少なくありません。

 

この記事では、マウスピース矯正が痛い原因や、とくに痛みが出やすいタイミングを解説します。

さらに、自宅でできる対処法や治療中に気を付けたいポイントもまとめました。

マウスピース矯正を検討中の方は、安心して治療を始めるために、事前にリスクを理解しましょう。

 

マウスピース矯正が痛いと感じる7つの原因

マウスピース矯正は、治療の過程で痛みや違和感をもつことがあります。

考えられるおもな要因は以下7つです。

 

  • 1.歯が動くことにより圧迫感を覚える
  • 2.歯根膜が敏感になる
  • 3.マウスピースが粘膜に当たる
  • 4.顎間ゴムに引っ張られる
  • 5.後戻りによる違和感を覚える
  • 6.歯と歯の間に食べカスが詰まる
  • 7.歯周病や虫歯がある

 

これらを理解することで不安が軽減し、適切に対応できるでしょう。

 

1.歯が動くことにより圧迫感を覚える

マウスピース矯正は歯を少しずつ動かす仕組みのため、装着直後に圧迫感や痛みをもつのは自然な反応です。

歯が新しい位置に移動しようとする際、周囲の骨や歯ぐきに力がかかるため違和感が出ます。

新しいマウスピースに交換した初日や2日目は、固い食べものを噛むとズキッと響くことがあります。

ただし、多くの場合は数日で慣れ、徐々に痛みが落ち着いていくのが一般的です。

 

2.歯根膜が敏感になる

歯と骨の間には、歯根膜と呼ばれる組織があり、噛む力を吸収する役割を担っています。

矯正中はここに持続的な力が加わるため、敏感になりやすく、噛むと痛みが走ることがあるので注意が必要です。

たとえば、せんべいやステーキなどの硬い食べものを噛んだときに、鈍痛があることも。

これは歯根膜が順応している証拠で、通常は一時的な症状です。

過度な心配は不要で、時間とともに落ち着いていくケースが多いでしょう。

 

3.マウスピースが粘膜に当たる

透明なマウスピースは薄い素材で作られていますが、縁が歯ぐきや頬の内側に擦れて痛み、口内炎ができることがあります。

たとえば、会話時にマウスピースの角が舌の横に当たり、ヒリヒリとした違和感を覚えることもあります。

小さな傷ができると食事のときにしみたり、辛いものを食べた際に強い刺激を感じたりすることもあるでしょう。

軽度であればほとんどの場合は数日で慣れますが、続くようなら医師に調整してもらうことが大切です。

 

4.顎間ゴムに引っ張られる

症例によっては、歯並びや噛み合わせを整えるために「顎間ゴム」を使用します。

小さなゴムを上下の歯にかけて力をかける仕組みで、引っ張りで顎や歯に痛みが出やすくなります。

たとえば、ゴムをかけたままガムを噛むと、普段以上に引っ張られるような圧迫感をもつでしょう。

はじめて装着した直後は違和感が強いですが、数日経つと徐々に慣れて、日常生活に支障が出にくくなります。

 

5.後戻りによる違和感を覚える

マウスピースを長時間外すと、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こります。

そのため、再装着時に強い圧迫感や痛みを感じることがあります。

たとえば、旅行や会食で半日以上マウスピースを外してから戻した際に、ぎゅっと押されるような痛みが出やすいです。

これは歯が少し戻ってしまったところへ、再度力を加えるために起こる現象です。

 

6.歯と歯の間に食べカスが詰まる

矯正の過程で歯が移動すると、歯と歯の間にすき間が生じることがあります。

そこに食べカスが入り込むと、圧迫感や炎症の原因になりかねません。

たとえば、繊維質の食べカスが挟まるとなかなか自然には取れず、噛むたびに違和感が続くでしょう。

歯ぐきの腫れや歯周炎を引き起こすおそれもあるため、放置は避けたほうが無難です。

食後の歯磨きやフロスの習慣化により、痛みを予防できます。

 

7.歯周病や虫歯がある

矯正を始める前に歯周病や虫歯がある場合、力がかかると痛みや不快感が増しがちです。

たとえば、虫歯のままマウスピースを装着すると、噛んだときにしみるような痛みが悪化する可能性が高まります。

また歯周病のある歯に無理な力を加えると、歯ぐきが腫れて矯正の進行に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。

 

マウスピース矯正で痛みを感じやすいタイミング

マウスピース矯正は段階的に歯を動かすため、とくに痛みを感じやすい瞬間があります。

あらかじめ把握しておくと心構えでき、不安を減らせるでしょう。

代表的なタイミングは以下3つです。

 

  • 1.はじめてマウスピースを装着したとき
  • 2.次の段階のマウスピースに変更したとき
  • 3.マウスピースを長時間外したあとに装着するとき

 

治療を開始したあとに焦らないために、事前に把握しておきましょう。

 

1.はじめてマウスピースを装着したとき

最初にマウスピースを装着する瞬間は、多くの方がもっとも強い違和感をもつタイミングです。

歯がこれまで固定されていた位置から動き出すため、圧迫感や軽い痛みが伴います。

たとえば、装着後に食事すると、歯全体がぎゅっと締めつけられるような感覚が出やすいです。

最初の数日は口内に異物を入れている違和感も強く、発音しづらいと感じる方もいます。

ただし、治療が順調に進んでいる場合は、この痛みは数日で和らぐケースが多いです。

 

2.次の段階のマウスピースに変更したとき

マウスピース矯正は1〜2週間ごとに新しい装置へ交換していくため、そのたびに歯へ新たな力が加わります。

その際、以前のマウスピースに慣れた口内に新しい刺激が入るため、違和感をもちやすいです。

 

たとえば、交換直後にステーキやフランスパンなどの硬い食べものを噛むと、歯がきしむような鋭い違和感が走るでしょう。

これは歯が次の位置へ移動し始めているサインで、数日から1週間程度で自然と慣れるケースがほとんどです。

 

3.マウスピースを長時間外したあとに装着するとき

マウスピースを数時間外してしまうと、歯は元の位置に戻ろうとします。

そのため、再装着時に強い締めつけ感や痛みを伴います。

たとえば、4〜5時間外したあとに装着すると、歯が押し返されるような強い圧力(後戻り)を感じ、矯正効果を妨げるでしょう。

長時間の取り外しを繰り返すと、治療期間が延びてしまうおそれもあるため、装着時間を守ることが大切です。

 

マウスピース矯正が痛いと感じたときの6つの対処法

痛みを感じると、このまま治療を継続できるのか不安になる方も多いでしょう。

しかし、適切に対処すれば、多くのケースで症状を和らげられます。

ここでは、代表的な6つの対策を紹介します。

 

  • 1.痛み止めを飲む
  • 2.前段階のマウスピースを装着する
  • 3.やわらかい食べものに変える
  • 4.マウスピースを清潔にする
  • 5.定期的に通院する
  • 6.治療計画を変更する

 

治療中に痛みを感じたときに、ぜひ実践してみてください。

1.痛み止めを飲む

どうしても痛みが我慢できないときは、市販の鎮痛薬を一時的に利用すると効果的です。

これらはドラッグストアや薬局で購入でき、薬剤師や医薬品登録販売者に相談すれば、自分に合った種類を選ぶことも可能です。

常備しておくと安心ですが、体調や持病によって使える薬は異なるため、不安がある方は事前にかかりつけ医や歯科医に確認しておくと安心です。

 

2.前段階のマウスピースを装着する

新しいマウスピースに慣れるまで、痛みが強いときは医師の判断で一時的に調整する場合があります。

その一例としてあげられるのが、前の段階のマウスピースを短時間使い、歯を慣らしながら次の段階へ進めることです。

たとえば、交換後に食べものを噛むのもつらいほど強い圧迫感がある場合、医師の指示で半日程度戻すと負担が軽減されることも。

ただし、自己判断で長期間戻すのは、治療計画の遅延につながるため避けるべきです。

 

3.やわらかい食べものに変える

矯正中に硬い食べものを噛むと痛みが強まることがあるため、食事内容を調整するのも効果的です。

たとえば、装着直後にはおかゆやうどん、バナナなどやわらかい食品を選ぶと負担を減らせます。

また、調理法を工夫し、肉は細かく切る、野菜は煮込んでやわらかくするなども有効です。

痛みが落ち着くまでの一時的な対応ですが、日常生活を快適に過ごすうえで役立つ習慣となるでしょう。

 

4.マウスピースを清潔にする

マウスピースが汚れていると細菌が繁殖し、炎症や口内トラブルを引き起こして痛みにつながる場合があります。

たとえば、水で軽くすすぐだけでは不十分で、専用の洗浄剤ややわらかいブラシを使った清掃が必要です。

外出時には水だけでもこまめに洗い流し、自宅では1日1回以上、丁寧にケアしましょう。

 

5.定期的に通院する

自己判断で痛みを放置すると、思わぬトラブルにつながることがあるため避けるべきです。

定期的に通院して医師のチェックを受けると、装置の不具合や噛み合わせの調整不足を早期に発見できます。

たとえば、マウスピースの縁が歯ぐきに当たり口内炎を繰り返すケースでも、通院時に装置の当たり方を調整してもらうことで症状が改善することがあります。

必要に応じてマウスピースの縁をわずかに滑らかにしてもらえる場合もあり、負担を軽減できるでしょう。

 

6.治療計画を変更する

痛みが慢性的に続く場合や生活に支障をきたす場合は、治療計画そのものを見直す必要があるかもしれません。

たとえば、マウスピースを交換するペースを通常より延ばしたり、補助的な装置の使用を減らしたりなどの調整が考えられます。

自己判断で変更するのは危険ですが、医師に現状を伝えれば無理のないペースに合わせてもらえる場合もあります。

治療を無理なく続けるためには、医師と相談しながら柔軟にプランを変更することが重要です。

 

マウスピース矯正で痛みを感じたときの注意点

痛みがあると不安から自己判断で対応してしまいがちですが、誤った対処は治療効果を下げ、健康に悪影響を与える可能性があります。

トラブルが発生しても、焦らずに正しい対応を心がけることが大切です。

代表的な注意点は以下2つです。

 

  • 1.勝手にマウスピースの装着をやめる
  • 2.痛み止めを服用しすぎる

 

それぞれ確認しましょう。

 

1.勝手にマウスピースの装着をやめる

自己判断で装着をやめてしまうと、矯正計画そのものに支障が出ます。

たとえば、1日以上外したまま放置すると歯が元の位置に戻ろうとし、再装着時にさらに強い痛みを感じることも。

結果として治療の遅れや後戻りを招き、期間や費用が余計にかかることも少なくありません。

 

2.痛み止めを服用しすぎる

鎮痛薬は一時的に痛みを和らげるのに役立ちますが、過剰に服用すると体への負担が大きくなります。

過剰摂取は胃の不快感や肝臓・腎臓への負担を大きくし、体調を崩す原因となります。

早く効かせたいからといって多めに飲むのは避け、必ず用法用量を守りましょう。

数日たっても痛みが引かない場合は薬に頼りすぎず、歯科医へ相談して根本的な原因を確認することが大切です。

 

関連記事:裏側矯正の痛みはいつまで続く?原因と対処法を解説

 

マウスピース矯正で痛いと感じたら医師に相談を

マウスピース矯正は、正しく装着すれば目立ちにくく快適な治療ですが、歯の移動に伴う痛みや違和感を覚えることもあります。

ただし、多くは一時的なもので食事の工夫や清掃、適切な対処で和らげられるため、過度に不安を抱く必要はありません。

表参道ヒカリデンタル矯正歯科では、経験豊富な認定医が一人ひとりに合わせた治療計画を提案し、安心できる環境で矯正を進められます。

マウスピース矯正に痛みや不安がある方は、納得したうえで治療するために、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

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清水直子 Shimizu Naoko

表参道ヒカリデンタル矯正歯科 院長

《資格》

日本矯正歯科学会認定

First Counseling初診相談

当院では初診相談を行なっております。

歯列矯正治療に興味のある方は、お気軽にご利用ください。まだ治療を始めるかどうか決めていない方でも、不安や疑問をご相談ください。

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