歯並びを整えることで、見た目だけでなく健康面にもよい影響を与えるのが「矯正歯科」です。
しかし、治療を始めようとすると、種類の多さや費用、治療期間が分かりにくく不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、矯正歯科のメリットとデメリットを整理し、治療すべきか判断するためのポイントを紹介します。
また、ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、代表的な治療方法の特徴もまとめました。
歯並びを改善し、自分に合った治療法を知りたい方は参考にしてください。
目次
矯正歯科の6つのメリット

歯並びを整えると、見た目がきれいになるだけではありません。
噛む力や発音の改善、口腔内の健康維持など、生活の質を高める多くの利点があります。
ここでは、以下6つのメリットを紹介します。
- 横顔や口元の見た目がきれいになる
- 虫歯や歯周病を予防できる
- 咀嚼機能が向上する
- 笑顔に自信がもてる
- 顎関節症・肩こりが解消する可能性が高まる
- 発音が改善される
それぞれ見ていきましょう。
横顔や口元の見た目がきれいになる
矯正治療を行うと、歯並びの乱れや出っ歯(上顎前突)、受け口などの悩みが改善されます。
その結果、横顔の輪郭が整い、口元全体がより自然でバランスのとれた印象に近づきます。
前歯の突出がなくなると、唇を無理なく閉じられるようになり、口周りの緊張がやわらぐことも利点です。
また、笑顔のときも歯列が均一に見えるため、清潔感が増し、第一印象でも好影響を与えるでしょう。
とくに「横顔にコンプレックスを感じている」「笑うと歯並びが気になる」という方には、矯正治療が大きな自信につながります。
虫歯や歯周病を予防できる
歯並びが乱れていると歯ブラシの毛先が届かない部分が増え、汚れや歯垢が残りやすくなります。
そのため、虫歯や歯周病のリスクが高まり、口臭の原因にもつながります。
矯正で歯列を整えると清掃性が上がり、毎日のブラッシングやフロスを効果的に使うことが可能です。
歯間に食べかすが残りにくくなるため、口腔環境を清潔に維持しやすいでしょう。
とくに「毎日丁寧に磨いても虫歯になりやすい」「歯ぐきの腫れが気になる」という方には、矯正治療は口腔環境を整える有効なサポートとなります。
咀嚼機能が向上する
噛み合わせが悪いと食べ物をうまくすりつぶせず、消化器官に負担がかかります。
片側だけで噛む習慣が付くと、顎関節や歯に偏った力が加わり、将来的なトラブルの原因になりかねません。
矯正治療によって歯列が整うと、左右でバランスよく噛めるようになります。
その結果、食べ物を細かく処理できるため消化吸収がスムーズになり、胃腸への負担も軽減されるでしょう。
「食事の際に噛みにくさを感じる」「片側でばかり噛んでしまう」などの悩みがある方にとって、咀嚼機能の改善は大きなメリットといえます。
笑顔に自信がもてる
歯並びにコンプレックスがあると、人前で思い切り笑えず、つい口元を隠してしまう方もいるのではないでしょうか。
矯正治療で歯列が整うと見た目が改善され、自然と口を開けて笑えるようになります。
清潔感のある口元は、相手によい印象を与えるだけでなく、自分自身の気持ちを前向きに変えてくれます。
また写真撮影や会話の場面でもリラックスできるため、プライベートや仕事での人間関係にもよい影響が広がるでしょう。
今まで控えめだった笑顔が自然にあふれ出すことで、日常の充実度そのものが大きく高まります。
顎関節症・肩こりが解消する可能性が高まる
噛み合わせが乱れていると、顎関節や周囲の筋肉に余分な負担がかかり、顎関節症や肩こり、頭痛などを招くことがあります。
しかし、矯正治療で歯列を整えると、噛む力が均等に分散され、関節や筋肉の緊張がやわらぎます。
症状が軽くなると、体の動きがスムーズになり、趣味やスポーツをより快適に楽しめることも。
見た目の改善に加え、全身のコンディションを整える効果が期待できる点は大きなメリットです。
発音が改善される
歯並びは舌の位置や空気の流れに大きく影響しており、とくにサ行やタ行の発音が不明瞭になりやすいです。
歯列矯正によって前歯の位置や隙間が整うと、舌が正しく動かせるようになり、発音がよりクリアになります。
この変化は日本語だけでなく、英語など発音に舌の動きが重要な言語でも効果を感じやすいです。
会話が聞き取りやすくなると、人とのやり取りがスムーズになり、自己表現への自信にもつながります。
矯正歯科の5つのデメリット
矯正歯科には大きなメリットがある一方、治療に伴う負担も少なくありません。
ここでは、5つの代表的なデメリットをあげました。
- 治療に時間を要する
- 費用が高額である
- 矯正中は不快感を覚える
- 矯正中は虫歯や歯周病になりやすい
- 定期的に通院が必要である
これらを理解したうえで治療すると、後悔せずにすむでしょう。
治療に時間を要する
矯正治療は数週間で終わるものではなく、多くの場合1年半から3年ほどの長期にわたります。
歯を少しずつ安全に動かすため、短期間での完治は望めません。
治療期間は歯並びの状態や年齢によって異なり、軽度の症例なら比較的短く、複雑なケースでは長引くこともあります。
また、矯正後も保定装置を装着し、歯並びが元に戻らないよう維持するための時間を要します。
「すぐに効果を実感したい」と考える方にとって、時間的な制約は大きな負担となるでしょう。
矯正は計画性と根気が、治療の成功を左右することを理解しておく必要があります。
費用が高額である
矯正治療は保険が適用されにくく、多くのケースが自由診療に分類されます。
そのため、治療方法や医院の方針によって、費用が大きく異なるのが実情です。
たとえば、一般的な表側ワイヤー矯正で約70万~100万円、裏側矯正で120万円を超えることも。
マウスピース矯正も、症例によっては同等の金額がかかるケースがあります。
さらに、通院時の調整費用やリテーナー代などの追加費用も発生するため、最終的な総額が想定より高くなる場合も少なくありません。
高額な支出は、矯正治療をためらう大きな要因となっています。
矯正中は不快感を覚える
矯正装置を装着すると、違和感や痛みは避けられません。
ワイヤーやブラケットが口内に当たり、頬や舌に傷ができることがあるためです。
また、歯を動かす過程で圧力がかかるため、数日間は噛むと痛みを感じやすくなります。
マウスピース矯正の場合でも、装着直後は締め付けられるような感覚が伴うでしょう。
食事や会話の際に不自由を覚えることもあり、生活習慣に慣れるまで時間がかかります。
ただし、この不快感は一時的なものが多く、時間の経過とともに軽減されるケースがほとんどです。
矯正中は虫歯や歯周病になりやすい
矯正装置を付けると、歯ブラシが届きにくい部分が増え、プラークや食べかすが残りやすくなります。
その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
とくに、ワイヤー矯正は複雑な装置を使用するため、日々のセルフケアが欠かせません。
フロスや歯間ブラシを併用し、口腔内を清潔に保つ努力が大切です。
また、定期的に歯科でクリーニングを受けることが予防につながります。
矯正治療中は美しい歯並びを目指すために、口腔ケアの継続が必要です。
定期的に通院が必要である
矯正治療は一度装置を付けたら終わりではなく、1ヶ月前後の間隔で通院し、装置の調整を要します。
通院を怠ると歯の移動が計画どおり進まず、治療期間が延びてしまう可能性もあるため注意が必要です。
さらに、通院ごとに調整費用がかかる場合があり、経済的な負担にもつながります。
忙しい方の場合、時間の確保も大きな課題となるでしょう。
ただし、定期的な診察によって口腔内の衛生状態を確認できるため、リスクを早期に知れる利点があります。
矯正治療を受ける方は、計画的な通院のために生活習慣を見直しましょう。
矯正歯科を検討すべき4つのポイント
矯正治療は誰にとっても必要なわけではなく、状況によって適している場合とそうでない場合があります。
ご自身やお子さまが本当に必要かどうかを判断するには、いくつかの視点で検討することが大切です。
ここでは、代表的なポイントを4つまとめました。
- 見た目にコンプレックスがある
- 噛み合わせに問題がある
- 予算に余裕がある
- 子どもである
これらを参考に、現状に合った治療を選びましょう。
見た目にコンプレックスがある
歯並びが原因で笑顔に自信をもてない方は少なくありません。
写真撮影の際に口元を隠したり、人前で笑うことをためらったりと、日常生活に影響が及ぶこともあります。
しかし、矯正によって歯列が整うと顔全体の印象が変わり、自然に笑えるようになる方が大半です。
見た目が改善されることで、清潔感や信頼感が高まり、人間関係にもよい影響が生まれるでしょう。
このように心理的な負担が軽減される点から、外見へのコンプレックスが強い方には矯正が有効な選択肢といえます。
噛み合わせに問題がある
見た目に大きな問題がなくても、噛み合わせのズレがあると体に悪影響を及ぼす場合があります。
噛む力が偏ると顎関節や歯に過度な負担がかかり、顎関節症や頭痛を引き起こす原因になるためです。
また、食べ物を十分にすりつぶせず消化に負担をかけたり、発音に影響が出たりするケースも少なくありません。
このような機能的な不具合は、見た目以上に健康に直結する無視できない問題といえるでしょう。
矯正治療で噛み合わせが改善されると、体全体のバランスが整い、日常生活の質も高まります。
予算に余裕がある
矯正治療は自由診療に分類されることが多く、保険が適用されないケースが一般的です。
そのため治療費は高額になりやすいため、覚悟が必要です。
通院時の調整費や保定装置の費用が追加されることもあり、総額は想定より膨らむ可能性があります。
このような点を考慮すると、無理のない範囲で費用を準備できるかが判断基準となります。
分割払いや医療費控除が適用される場合もありますが、それでも長期的な出費となるのは事実です。
費用面での不安が強い場合は、複数の医院で見積もりを比較することが賢明です。
子どもである
成長期の子どもは骨や歯の動きが柔軟なため、大人に比べて矯正効果が得られやすいとされています。
永久歯が生えそろう時期に矯正を始めると、顎の成長をコントロールしながら効率的に治療を進められます。
また、早い段階で歯並びが整うと、虫歯や歯周病の予防効果も得られ、長期にわたり歯を健康に保てるでしょう。
さらに、見た目の改善により、思春期の自尊心を高める心理的なメリットも見逃せません。
もちろん、成長期の子どもに必ず矯正が必要なわけではありません。
しかし、適切な時期に専門医へ相談することで、将来的な負担を軽減できる可能性は高まります。
関連記事:ブライダル矯正の期間は?種類と時期別おすすめプランを解説
矯正歯科の種類
矯正治療には複数の方法があり、見た目や費用、治療期間などによって特徴が異なります。
どの治療法が適しているかは、症例の難易度やライフスタイル、予算によって大きく変わるため、事前の比較が重要です。
ここでは、代表的な矯正方法を3種類紹介します。
- ワイヤー矯正(表側)
- ワイヤー矯正(裏側)
- マウスピース矯正(表側・透明)
それぞれの特徴を理解しましょう。
ワイヤー矯正(表側)
もっとも広く使われている矯正方法で、歯の表面にブラケットとワイヤーを装着します。
適応範囲が広く、軽度から重度の不正咬合まで幅広く対応可能なのが大きな強みです。
治療効果が安定しており、複雑な歯並びでも確実な改善が期待できます。
一方、装置が目立ちやすく、食事や歯磨きの際に不便を感じることがあります。
以下に、メリットとデメリットをまとめました。
| メリット | デメリット |
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近年は透明や白色のブラケットを使用するなど、見た目の負担を軽減する工夫も広がっています。
ワイヤー矯正(裏側)
歯の裏側に装置を付けるため、正面からはほとんど見えないのが特徴です。
周囲に矯正していることを気づかれにくく、見た目を最優先したい方には理想的な方法といえます。
ただし、表側矯正に比べて治療費が高額になりやすく、治療期間も延びる傾向です。
メリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
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舌に装置が触れるため、慣れるまでは発音や食事に不自由を感じることがあるでしょう。
マウスピース矯正(表側・透明)
透明なマウスピースを用いる矯正法で、装着していても気づかれにくいのが大きな利点です。
食事や歯磨きの際に取り外せるため、衛生面を保ちやすく虫歯リスクも軽減できます。
一方、自己管理が不可欠で、装着時間を守らなければ十分な効果は得られません。
以下のメリット・デメリットを参考にしてください。
| メリット | デメリット |
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なお、重度の不正咬合や複雑な症例には対応が難しいケースもあります。
矯正歯科のメリットとデメリットに納得して判断しよう
矯正治療は見た目の美しさを得るだけでなく、虫歯や歯周病の予防、噛み合わせ改善、発音への好影響など幅広いメリットがあります。
一方、治療には時間と費用がかかり、矯正中の不快感や通院の負担などのデメリットも存在します。
だからこそ、利点と欠点を理解し、自分のライフスタイルに合った治療法を選ぶことが重要です。
矯正に興味はあるけれど不安もある方は、まずは一度カウンセリングでご相談ください。
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