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小児矯正の適切な開始年齢とは?治療したほうがよいケースも解説 投稿日:2025/10/07 更新日:2025/10/07

 

子どもの歯並びや噛み合わせに、不安を感じたときの選択肢の1つが「小児矯正」です。

しかし、治療を始める適切な年齢や必要なケースは分かりにくく、多くの保護者が判断に迷うものです。

 

この記事では、小児矯正の開始時期を2つの時期に分けて解説します。

さらに、治療を検討したほうがよい特徴や、メリット・デメリットも整理しました。

子どもの歯並びを整える最適なタイミングを知りたい保護者の方は、参考にしてください。

 

小児矯正の開始年齢とは?

小児矯正は、成長段階に応じて「1期治療」と「2期治療」に分けられます。

どちらの時期に治療を始めるかで目的や方法が変わるため、大まかな目安を知っておくと安心です。

 

  • 1期治療(5歳から12歳頃)
  • 2期治療(12歳以降)

 

それぞれ特徴や違いを見ていきましょう。

 

1期治療(5歳から12歳頃)

1期治療は、乳歯から永久歯に生え替わる時期に行う矯正です。

この時期の治療では、歯をきれいに並べることよりも、顎の成長を正しく導くことが大きな目的です。

受け口や出っ歯(上顎前突)など、顎の位置に関わる症状の早期改善により、成人後の大がかりな矯正を避けやすくなります。

 

また、早めに治療することで、歯並びに対するコンプレックスを軽減しやすく、学校生活や友人関係にもよい影響を与えるでしょう。

一般的には、6~7歳前後から矯正の相談を始めるのが望ましいとされており、気になる症状があれば早めの受診が安心です。

 

2期治療(12歳以降)

2期治療は、永久歯が生えそろった中学生以降に行う本格的な矯正です。

歯を動かすためのワイヤー矯正やマウスピース矯正が中心で、見た目の改善だけでなく、噛み合わせを整えることも大きな目的です。

 

永久歯がそろっているため、歯並びの完成形を見据えて治療を進めやすくなります。

一方、すでに顎の成長は落ち着いているため、抜歯が必要となるケースがあり、注意が必要です。

 

費用や治療期間は1期治療より長くなる傾向ですが、成人になってから矯正するよりも効率的に進められる場合もあります。

成長が落ち着いた時期だからこそ、安定した仕上がりが期待できます。

 

小児矯正を開始したほうがよい子どもの特徴

すべての子どもが、必ず矯正しなければならないものではありません。

しかし、歯並びや噛み合わせに明らかな問題がある場合は、早めに治療を検討したほうがよいでしょう。

ここでは、小児矯正を始めたほうがよい子どもの特徴を5つまとめました。

 

  • 受け口である
  • 出っ歯が目立つ
  • 過蓋咬合である
  • 歯がガタガタである
  • 患者が前向きである

 

それぞれ見ていきます。

 

受け口である

受け口(反対咬合)は、下の前歯が上の前歯より前に出てしまう噛み合わせを指します。

見た目の印象に影響するだけでなく、食べ物を噛み切りづらい、発音が不明瞭になるなど機能的な問題を伴いやすいのが特徴です。

 

とくにサ行やタ行が発音しづらいケースは多く、学校生活やコミュニケーションに影響を及ぼすこともあります。

さらに成長とともに下顎が前方へ伸びやすく、放置すれば骨格的なズレが進行し、矯正の難易度が高まります。

成人後は、外科的処置を伴う負担の大きい矯正を要するケースもあり、小児期に対応しておくことが重要です。

 

出っ歯が目立つ

出っ歯(上顎前突)は、上の前歯が前方に突出している状態です。

容姿へのコンプレックスにつながることが多く、口を閉じづらい、口が乾きやすいなど日常生活にも支障をきたします。

 

また、前歯が突出しているため転倒時に折れたり欠けたりしやすく、ケガのリスクも高まります。

さらに、口呼吸や指しゃぶりなどの生活習慣があると、前歯の突出を助長し、症状が悪化しかねません。

成長期に矯正すれば、顎の発育をコントロールしながら歯の位置を整えやすいため、将来の治療負担が軽くなるでしょう。

 

過蓋咬合である

過蓋咬合は、噛んだときに上の前歯が下の前歯を深く覆い隠してしまう状態を指します。

口を閉じたときに下の歯がほとんど見えず、笑った際も歯並びが不自然に見えるなど、見た目にも違和感を覚えるでしょう。

 

この噛み合わせでは、下の前歯や歯茎に強い力がかかるため、歯のすり減りや歯肉の傷みが起こりやすいのが懸念点です。

さらに、食べ物を噛み切れない、発音がしづらいなど、支障が出ることがあります。

 

成長期に矯正すれば噛み合わせの深さを調整しやすく、顎関節への負担も軽減できるため、早期対応が望ましい症状です。

 

歯がガタガタである

歯がガタガタに重なって並ぶ状態は「叢生(そうせい)」と呼ばれます。

歯列の一部が前後にズレていたり、歯が斜めに生えていたりするため、口を開けたときに歯並びの乱れが目立ちやすいのが特徴です。

 

見た目の問題だけでなく、歯間に汚れが残りやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

さらに、ブラッシングが行き届かず口臭の原因になることもあり、深刻な悩みにつながりかねません。

 

成長期であれば顎の幅を広げる治療により、歯が並ぶスペースを確保しやすく、将来の抜歯を避けられる場合があります。

 

患者が前向きである

嫌がって装置を外してしまうと十分な効果が得られず、治療が長引いたり成果が限定的になったりする可能性があります。

そのため、子ども本人が装置の装着や通院を一定期間続けられるかどうかが、治療を成功させる大切な条件です。

 

一方、「歯並びをよくしたい」と子ども自身が前向きであれば、日常生活での装置使用や歯磨きにも積極的に取り組めるでしょう。

 

本人の協力度が高いほど治療はスムーズに進み、期待した効果が得られやすくなります。

矯正は保護者の意向だけでなく、子どもの意思も見逃せないポイントです。

 

小児矯正を開始する3つのメリット

小児矯正は見た目の改善だけでなく、心身の成長や将来の治療負担を軽くする効果も期待できます。

とくに以下3つのメリットは、保護者も知っておきたいポイントです。

 

  • コンプレックスを解消できる
  • 負担が少ない治療を選択しやすい
  • 大人で矯正する必要がない

 

それぞれ見ていきましょう。

 

コンプレックスを解消できる

歯並びが整っていないと見た目に自信を持てないため、人前で笑うことをためらう子どもも少なくありません。

学校での友人関係や発表の場など、日常生活の中で劣等感を覚える機会が増えてしまうこともあるでしょう。

 

しかし、思春期に入る前に矯正することで、思いきり笑顔で会話できるようになることも。

その結果、友人との関係がより円滑になり、対人面でのプラスも得られます。

また、将来、面接や職場など社会的な場面でも印象がよくなり、自己肯定感を高めやすい点が大きなメリットです。

 

負担が少ない治療を選択しやすい

小児期は顎や歯がまだ成長の途中にあるため、この特性を利用した矯正治療が可能です。

たとえば、顎の骨の幅を広げる装置で歯の並ぶスペースを確保できれば、抜歯をせずに治療を終えられるケースもあります。

また、成長期に土台を整えておくことで、歯を大きく動かす必要が減り、痛みや治療期間を抑えやすい点も利点です。

 

一方、大人になってからの治療法は限られ、抜歯や外科的な処置が必要になる可能性が高まります。

小児矯正は治療の選択肢が広く、体への負担も軽減されることから、子どもにとっても保護者にとっても大きな安心材料となるでしょう。

 

大人になってからの矯正の必要性が減る

成人矯正は、費用や体への負担も大きくなりやすいのが現実です。

そのため、社会人になってから矯正を始めることに抵抗を感じる人も少なくありません。

 

一方、小児期に顎や歯のバランスを整えておけば、成長に合わせて歯が正しい位置に誘導されるため、発育とともに歯並びが安定しやすくなります。

その結果、成人後に本格的な矯正が不要になることもあり、将来の経済的・時間的負担を軽減できます。

 

小児矯正を開始する2つのデメリット

小児矯正には多くの利点がありますが、注意しておきたい側面も存在します。

治療を始めることで新たな課題が生じることもあるため、メリットとあわせて理解しておくことが大切です。

ここでは、おもな2つのデメリットを紹介します。

 

  • 見た目が気になる
  • 保護者に負担がかかる

 

これらを理解したうえで、治療に進みましょう。

 

見た目が気になる

矯正装置を装着すると、大きく見た目が変わるため、子ども自身が気にすることがあります。

とくに金属製のワイヤー矯正は目立ちやすく、学校で目立つことを気にしてしまい、心理的な負担になるケースも少なくありません。

また、装置が原因で笑顔を控えたり、人前で話すことをためらったりする子どももいます。

 

近年では、透明のマウスピース型や目立ちにくい矯正装置も普及しています。

しかし、装置の種類によっては費用が高くなるため注意が必要です。

見た目に対する不安は避けられないものの、子どもが納得して治療に取り組めるよう、装置の選択を一緒に考えることが大切です。

 

関連記事:矯正装置は目立つからイヤ?目立たない方法とメリットを解説

 

保護者に負担がかかる

小児矯正は数年単位で治療を続けることが多いため、保護者のサポートが欠かせません。

定期的な通院の付き添いはもちろん、毎日の装置の管理や歯磨きのチェックなど、家庭での協力が求められます。

治療費は数十万円から百万円を超えることもあり、家計への負担も大きくなりやすいのが現実的な課題です。

 

加えて、子どもが装置を嫌がった場合には、励ましや声かけも必要になるため、精神的なサポートも不可欠です。

そのため、治療を始める前に費用や通院頻度、家庭での協力体制を考慮し、無理のない計画を立てましょう。

 

小児矯正を開始するなら早期がおすすめ

小児矯正は1期治療と2期治療に分かれ、子どもの成長段階に合わせて始めることが大切です。

症状の早期改善により、将来的な大がかりな治療を避けやすくなります。

とくに成長期の矯正は、顎の発育を活かして自然に歯並びを整えられるため、治療負担が軽減される点が魅力です。

ただし、治療内容や装置の種類は子どもごとに異なるため、信頼できる専門医への相談が欠かせません。

 

表参道ヒカリデンタル矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医の女性院長が、一人ひとりに合った最適な治療プランを提案します。

小児矯正を検討中の方は、まずは初診相談で不安や疑問を解消し、子どもにとって最適な治療方法を見つけてみませんか。

この記事の監修者

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清水直子 Shimizu Naoko

表参道ヒカリデンタル矯正歯科 院長

《資格》

日本矯正歯科学会認定

First Counseling初診相談

当院では初診相談を行なっております。

歯列矯正治療に興味のある方は、お気軽にご利用ください。まだ治療を始めるかどうか決めていない方でも、不安や疑問をご相談ください。

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